英語の文章を、声に出して読む「音読」。学校でもよく行われる学習方法ですが、ただ声を出せば英語力が伸びるのでしょうか。
これまでの研究からは、音読、特に同じ文章を繰り返して読む練習が、英語を正確かつ滑らかに読む力を育てる可能性が示されています。
一方で、音読だけですべての英語力が身につくとは限りません。この記事では、研究から比較的よく分かっていることと、まだ検証が必要なことを整理します。
「流暢に読める」とは、
速く読むことだけではない
英語を流暢に読む力には、主に次の要素があります。
- Accuracy:単語を正確に読める
- Rate:適切な速さで読める
- Automaticity:単語を一つずつ考え込まずに認識できる
- Prosody:意味のまとまり、リズム、強弱、イントネーションを使える
流暢さは、単なる「速さ」ではありません。意味のまとまりを捉えながら、正確に、自然なリズムで読めることが大切です。第二言語の読解研究でも、流暢さは読解を支える重要な要素として位置づけられています(Grabe & Yamashita, 2022)。
1.繰り返し音読は、
読む速さと正確さを育てる
音読研究で特に多く扱われているのが、同じ英文を複数回読む「繰り返し読み(Repeated Reading)」です。
初めて読む文章では、学習者は単語の発音や意味、文の構造を一度に処理しなければなりません。しかし、同じ文章を繰り返すことで単語認識が少しずつ自動化され、読む際の迷いや停止が減っていくと考えられています。
日本の大学で初級英語学習者56名を対象に12週間実施された研究では、多読、時間を測った黙読、繰り返し音読を組み合わせた学習によって、読む速度と理解の改善が報告されました。ただし、複数の活動を組み合わせた研究であるため、結果を音読だけの効果と断定することはできません(Milliner, 2021)。
また、EFL学習者を対象に3か月間の繰り返し音読を調べた研究でも、音読の流暢さの向上が報告されています(Chang, 2019)。
2.音読の流暢さは、
読解力とも関係している
滑らかに読めるようになると、頭の中の処理能力を、単語の解読だけでなく文章の意味理解に使いやすくなります。
韓国の高校生255名を対象にした研究では、英文を声に出して読む流暢さと読解力との間に関連が見られました。ただし、ここで注意したいのは、「滑らかに読めるから必ず理解できる」とは限らないことです。
読解には、流暢さに加えて、語彙、文法、背景知識、推論する力なども必要です。音読の速さだけを追い求め、内容を理解しないまま読むのでは十分ではありません(Jeon, 2012)。
3.音読は、英語の
「文字」と「音」を結びつける
黙読では、分からない単語を曖昧なまま読み進めることがあります。しかし、声に出そうとすると、次のような点に自然と注意が向きます。
「この単語はどう発音するのだろう」
「どこで区切ればよいのだろう」
「この文はどこが強くなるのだろう」
音声を聞いてまねる、意味のまとまりごとに区切る、繰り返して読むといった練習を組み合わせることで、文字と音のつながりや英語のリズムを意識しやすくなります。
ただし、自己流の発音を繰り返す可能性もあります。そのため、モデル音声を聞くことや、ときどき他者からフィードバックを受けることも大切です。
4.音読だけで、
会話力まで伸びるのか
ここは慎重に考える必要があります。
音読は、すでに書かれた英文を読む活動です。一方、実際の会話では、その場で内容を考え、適切な単語や文法を選び、相手の反応に合わせる必要があります。
したがって、音読によって発音、リズム、英語を口から出すことへの慣れが育つ可能性はありますが、音読だけで自由な会話力が身につくとは言い切れません。
音読した文章の内容について質問に答える、自分の言葉で要約する、表現の一部を変えて話すなど、音読から会話へつなげる活動が必要です。
一人で読むだけでは、
続かないこともある
音読は特別な機材を必要とせず、一人でも始められる学習方法です。しかし、一人では次のような問題も起こります。
- つい後回しにしてしまう
- できているか分からない
- 間違いに気づきにくい
- 誰にも聞かれないため緊張感が生まれにくい
- 成長を実感する前にやめてしまう
学習方法がよいものであっても、続かなければ十分な効果は期待できません。そこでONDENは、音読そのものに加えて、「決まった時間に、誰かが待っていて、読んだ英語を聞いてくれる」という環境に注目しています。
ONDENが検証しようとしていること
ONDENは、英語を一方的に教えてもらうオンライン英会話ではありません。
学習者が自分で選び、練習した英文を、決まった時間にONDEN Coachへ音読します。Coachは英語を細かく直し続けるのではなく、聞き手として学習者の継続と挑戦を支えます。
私たちが検証したいのは、主に次の点です。
- 誰かに聞いてもらうことで、音読を継続しやすくなるか
- 継続的な音読によって、正確さや流暢さが変化するか
- 英語を声に出すことへの抵抗感が小さくなるか
- 「自分にもできる」という自信につながるか
- 学習者と海外のCoachとのつながりが、学習意欲に影響するか
先行研究から、繰り返し音読が流暢さを育てる可能性は示されています。しかし、「海外にいる誰かが定期的に聞いてくれる」という仕組みが、継続、自信、英語力にどのような影響を与えるかは、まだ十分に分かっていません。
ONDENは、この問いを実践と研究の両面から確かめていきます。
まとめ
音読は、魔法の学習法ではありません。しかし、適切な教材を使い、意味を理解しながら繰り返すことで、次の力を育てる有効な練習になり得ます。
- 英単語を正確に読む
- 英語を滑らかに読む
- 文字と音を結びつける
- 英語のリズムを身につける
そして、学習を実際に続けるためには、方法だけでなく「続けられる仕組み」も必要です。
英語を教えすぎるのではなく、まず聞くこと。
評価する前に、挑戦を見届けること。
ONDENは、音読と人とのつながりから、新しい英語学習の形を探究します。
参考文献
- Chang, A. C-S. (2019). The Effects of Repeated Oral Reading Practice on EFL Learners’ Oral Reading Fluency Development.
- Jeon, E. H. (2012). Oral Reading Fluency in Second Language Reading. Reading in a Foreign Language, 24(2), 186–208.
- Milliner, B. (2021). The Effects of Combining Timed Reading, Repeated Oral Reading, and Extensive Reading. Reading in a Foreign Language, 33(2), 191–211.
- Grabe, W., & Yamashita, J. (2022). Reading in a Second Language: Moving from Theory to Practice (2nd ed.). Cambridge University Press.