一度読んだ英文を、もう一度読む。同じ文章なのに意味があるのでしょうか。反復音読の目的は、文章を速く読み終えることではなく、最初は文字の解読に使っていた注意を、少しずつ意味や表現へ向けられるようにすることです。

初めての英文では、単語の認識、発音、文法、内容理解を同時に処理します。負担が大きいため、意味を考える余裕がなくなることもあります。同じ文章を適切に繰り返すと、語やまとまりを認識しやすくなり、読みが滑らかになる可能性があります。

反復音読で変わる三つのこと

一つ目は正確さです。最初の読みで止まった語を確認し、次の読みで修正できます。二つ目は流暢さです。単語を一語ずつ読む状態から、意味のまとまりで読める状態へ近づきます。三つ目は理解です。発音に使う注意が減ると、内容や話し手の意図へ注意を向けやすくなります。

Taguchiらは、日本人大学生の英語学習において、モデル音声を伴う反復読みが、音読速度や語のまとまり方などの流暢さを支える可能性を報告しました(Taguchi, Takayasu-Maass, & Gorsuch, 2004)。

同じ文章が上手に読めたことと、英語力全体の向上は同じではない

反復すれば、その文章は読みやすくなります。しかし、一つの文章を滑らかに読めたからといって、初めて見る英文も同じように読めるとは限りません。

Therrienのメタ分析では、繰り返した文章そのものへの効果は比較的大きく、新しい文章への転移効果はそれより小さいと報告されています。対象の多くは英語を母語として読む児童生徒であり、大学生のEFL学習へ数値をそのまま当てはめることはできません。それでも、一つの文章を深く読む練習と、さまざまな文章へ出会う練習の両方が必要だと考える手がかりになります(Therrien, 2004)。

反復音読は、一つの文章に閉じこもる練習ではなく、
次の文章を読むための足場をつくる練習。

何回読めばよい?

すべての学習者に共通する「正解の回数」はありません。文章の難しさ、目的、集中力によって変わります。研究では2〜4回程度の反復が多く使われますが、回数だけを守るより、各回の目的を変える方が大切です。

すでに自然に読めているなら、同じ文章を何度も続けるより次へ進みます。難しすぎて毎回ほとんど止まるなら、反復回数を増やす前に、文章を短くするか教材のレベルを下げる方が有効です。

速さだけを目標にしない

時間を測ると成長が見えやすくなりますが、速く読むことだけを追うと、意味を置き去りにしたり、区切りが不自然になったりします。流暢さには、正確さ、適切な速さ、表現、理解が含まれます。

毎回の終わりに、「この文章は何を伝えていたか」「どの一文が印象に残ったか」を一つ答えるだけでも、音と意味を結び直せます。

人に聞いてもらうと、反復の目的が変わる

一人の練習では、同じ文章を読むことが作業になりがちです。聞き手がいると、目標は「間違えない」から「相手へ届ける」へ変わります。ONDENのCoachは、すべてを訂正する役ではなく、昨日より伝わった点を見つけ、次の一歩を一つ選ぶ聞き手です。

「二回目は区切りが自然だった」「今日はこの一文がよく伝わった」という具体的な気づきは、小さな成功体験になります。これが自信を直接保証するわけではありませんが、成長を本人が認識する材料になります。

8分でできる反復音読

ONDENがこれから確かめたいこと

まとめ

反復音読は、ただ同じ英文を繰り返す活動ではありません。

  • 最初の読みで難しさを見つける
  • 発音と意味のまとまりを確認する
  • 次の読みでは内容を相手へ届ける
  • 一つの文章と、多様な文章の両方を読む

同じ文章を読むたびに、
同じ読み方をする必要はありません。

参考文献

  • Taguchi, E., Takayasu-Maass, M., & Gorsuch, G. J. (2004). Developing reading fluency in EFL: How assisted repeated reading and extensive reading affect fluency development. Reading in a Foreign Language, 16(2), 70–96.
  • Therrien, W. J. (2004). Fluency and comprehension gains as a result of repeated reading: A meta-analysis. Remedial and Special Education, 25(4), 252–261.